街道原理主義者(あるいは現道乖離主義者)の街道調査手法

年に数回、気のおけない街道歩き仲間と「街道シンポジウム」と称する街道歩きに行っています。
その様子は Twitterのまとめ、YouTubeの動画、個人のブログなどで紹介しています(私以外のメンバーが …… 笑)

そのお気楽っぷりが前面に出ている私たち、通称「ガチ連」も裏ではこんなに緻密?なことをしてるんだよということを紹介してみたいと思います。

私たちは街道歩きを趣味にする方々の中でも「昔の道をできるだけ忠実に歩きたい」という思いが強く、仲間内で「街道原理主義(現道乖離主義)」と言っています。「街道原理主義」にはさらに「過激派」と「穏健派」があるけど、それはまた別の話(笑)
グループのメンバーは日本各地に在住していること、「藪がないとヤダ」などの変なこだわりや、1日で歩ける手ごろな距離などの制約?があるので、どうしても五街道のようなメジャーな街道ではなくマイナーな街道へ行くことが多くなります。
皆さんご存知にのように五街道でも東海道、中山道は資料が充実していますが、日光街道、甲州街道、奥州街道はかなり資料が少なくなります。
ましてや脇街道になると市販の資料があればいい方で、「歴史の道調査報告書」もないマイナーな街道になると、すべて自分たちで調査しなければなりません。

今回はそんな資料が少ない街道のひとつ、東海道の水口宿から信楽へ至る信楽道を例に、メンバーで行った調査を紹介します。

現在では信楽から遠く離れたところにいてもWebでいろいろな検索をすることができますよね。
また、同じ「街道原理主義者」でも得意とする分野、調査方法はメンバーによって違うので、各自の力を結集すると以下のようになります。

でこちゃさん
地図、航空写真などからルート案のたたき台を作成してくださいました。

にゃおすけさん
江戸時代の絵地図や周辺にある寺院や道標の位置などからルートを検討してくださいました。

ぼんたさん
事前にわざわざ現地へ赴き、図書館などで街道の変遷などの資料調査をしてくださいました。

そして私はというと
PCで画像をいじることを長年やっていたので、明治から昭和初期の古い地形図からルートを抜き出し現在の地図に当てはめるということをしました。

明治時代の地図から該当する旧道ルートを抜き出し(国土地理院から取り寄せた旧版地図をスキャンして作業しているときの画面です)
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現在の地形図上に重ねて現存する旧道と消滅してしまった区間の切り分けをして、旧道ルートの割り出しを行います。
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メンバーの調査結果をまとめると信楽道はこうなります(カシミール3Dで作成しました)
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まず、信楽からすぐの勅旨は、大戸川に沿って進むルートと川の右岸にある勅旨集落を通る、2つのルートがあったことがわかりました。
大戸川は昔から何度となく水害が起きておりその度に川沿いの街道は改修されましたが、水害の被害を受けにくい川から離れた勅旨集落を通るルートも使われていたようです。
赤が大戸川沿いルート、青が勅旨集落ルートです(所々ヒゲのように伸びている線は、消失したルートを示しています)
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この辺りを歩いているときの写真です。
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信楽道は現在の国道307号とは異なり、滝川沿いを進むのではなく小野峠を越えていました。
国道の旧道も小野峠を越えていましたが、信楽道はつづら折りにもなっておらず急峻な地形を直線的に突破していたことがわかります。
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こちらのハイライト?になる区間は楽しすぎたのか、あまり写真がありません。
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このようにしてメンバーの実力をいかんなく発揮し特定したルートは、GPSデータが起こされスマホの「スーパー地形」や「FieldAccsess2」などの地図アプリで参照しながら実際の街道歩きに活用されます。

信楽道を歩いた時の様子はこちらからお楽しみください(他力本願)
信楽道歩きでは、街道シンポで初めてメンバーが二手に分かれてルートを検証するという試みが行われました。

第13回 街道歩講 信楽シンポジウム(ぼんたさん)
【街道シンポジウム】 信楽道・信楽→水口宿(にゃおすけさん) 当日のGPSログを見られるリンクが張ってあります。

先日もこの「ガチ連」で金沢へ行ったのですが、その時に
「街道歩きは事前調査が8割、残りの2割は調査の答え合わせと、実際の街道歩きを楽しむことだよね」
と話していました。

最近ではWeb上で、
国土地理院の地図検索(旧版地図と航空写真の検索)
東京国立博物館の画像検索で各街道の分間延絵図
米スタンフォード大学で昭和初期頃の旧版地形図
アメリカ議会図書館で伊能図
を見ることができるようになっているので、この手のシゴトがかなり楽になりました。


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by marunino_notenki | 2017-09-07 13:08 | 自由研究 | Comments(0)

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